家を売る場合に家主が認知症でも家族が不動産屋に頼めばごく普通に売ることができるんでしょうか?
実は家を売るためにすぐにでも家族ができることと、家族が家主である本人の代理で行うためには避けられない手続きなどがあるんです。
今回は、家の所有者が父親だと仮定して、父親が認知症になっている場合の家の売り方と、損せず高く売るための方法をお伝えします。
家を売る際に所有者が認知症の場合の売却の流れ
家を売る際には、その家が誰のものか?が何よりも重要です。登記簿に記載されている名前を見れば一目瞭然で、法務局で登記簿を閲覧すれば簡単にわかります。
仮に、認知症と診断されているお父様が家の所有者である場合には、勝手に好き勝手に売ることはできなくて、とある手続きを踏む必要があるんです。
その手続とは、家庭裁判所の許可です。家庭裁判所に対して父親名義の不動産屋を本人に代わって売却したいということを伝え、認めてもらう必要があるんです。
この届けのことを「居住用不動産処分許可の申立」と言います。
これで許可がもらえないと勝手に売るわけにはいきませんが、許可が下りればあとは自由です。
居住用不動産処分許可の申立てはかんたんに通る?
居住用不動産処分許可の申立ては「不動産を処分することが名義人にメリットがあるか?」が許可されるかどうかのポイントとなります。
間違っても「親の家を売るのは自分たち家族の勝手でしょう!」なんて姿勢は見せてはいけません。
過去に私の知り合いは、自分の子供の教育費のために親が住んでいる家を売ろうとして許可が出なかった例があります。でも、その後に、家の売却益は親が入居する施設への入居費用にするという「親のために」という名目変更によって許可がされました。
結局、私の知り合いは、子供のために不動産売却をしたお金を使うことはできませんでしたが、もともと施設入所のためにお金を残していた貯蓄は手をつけなくても済んだので、結局は1000万円近いお金が入り経済的に助かったそうです。
家が売れるまで住み続けるかどうかも売れ方に影響します
これまで私がたくさんの家を売ってきた経験や、周囲の大家仲間の経験からも、家は空き家の状態で売るのが最もスムーズに売れると自信を持って言えます。
これには、掃除が行き届くという理由や、不動産屋や内見者が住人に気を使わずにいつでも内覧ができ、納得できるまでゆっくり見えるという利点があるからです。
不動産屋さんはいちいち事前に売り主に許可を貰わなくてもいいので、他の売り家よりうもフットワークよく気軽に内覧者を連れてきてくれやすくなるので、よけいに売れる確率が高まるものです。
認知症の人が住んでる家だと不動産屋さんは不安で気がのらないことも
以前に、とある不動産屋の担当さんと話をした時に聞いた話ですが、認知症の方は家事の心配はもちろんのこと、水漏れを起こしやすいなど、不安材料がどうしても多いため、売却の依頼をされたあとも住み続けているのは心配なんだそうです。
その方の話では、過去に、売却依頼を受けた家がトントン拍子で売却に向かっている途中で、ボヤが出て話が流れた苦い経験があるんだそうです。
不動産屋さんとしては、何の心配もなく売却に向けて突っ走れる家の方がやはり本気になる甲斐があるみたいです。まあ、成果報酬型の営業マンが多いので話が流れることにシビアだというのも分からなくもないですけどね。
不動産屋さんに全力で売ってもらうためにも、できれば先に引っ越しを済ませ、空き家にしてから売るのも一つの手だと言えそうです。
認知症の所有者に代わって少しでも高く家を売る方法
認知症の家族の代わりに家を売る場合、どうしても本人でないので舐めてかかってくる不動産屋もいます。
本来なら1,500万円で売れるはずの中古住宅を「1,000万円も厳しいですね」といって安く売り飛ばそうとうするケースなどです。
また、しっかりと正しい価値を調べてから売値をつけないと、1社の不動産屋の言うことだけ真に受けてしまうと、悪気はないけど値付け感覚がずれた業者に安い値段をつけられて何百万円も大損させられる心配もあります。
そこで、私や家を売り慣れている大家仲間は、かならずネットの一括査定サービスを使って、事前に5社ほどの業者から売値の見積もりをもらって正しい相場を把握するようにしています。
※優良業者しか登録されていないので、安く売られてしまうようなリスクも避けられます。
また、一括査定サービスなら、驚くような高値をつけてくれる業者もみつかりやすいんです。高値をつけてくれるにはそれなりの見込み客がいることが考えらえるので、通常は、そのまま最高値をつけてくれた業者に売却を依頼するようにしています。